エ ク ト シ ス ト は 語 る
著者 ガブリエル・アモース
編集 いつくしみセンター
発行者 エンデル書店
発行日 2007年7月16日 カルメル山の聖母
抜粋52頁~54頁
教皇レオ十三世が目にされた悪魔のまぼろし
第二バチカン公会議による刷新の前には、ミサが終わるたびに司式者と信徒はひざまずいて聖マリアと、 大天使ミカエルへの祈りを一つずつ唱えたことを記憶している方はたくさんおられることでしょう。これは実にすばらしい祈りで、それを唱える人たちすべてに大きな恩恵をもたらしてくれます。
大天使ミカエル、戦いにおいてわれらを守り、悪魔の凶悪なるはかりごとに勝たしめたまえ。
天主の彼に命を下したまわんことを伏して願いたてまつる。
ああ、天軍の総師 霊魂を損なわんとて、この世を徘徊するサタンおよびその他の悪魔を、天主のおん力によりて地獄に閉じこめたまえ。 アーメン
この祈りはどのようにして生まれたのでしょうか? ここに記載するのは一九九五年に報道された「エフェメリデス・リタージカ」誌の記事です。
ドメニコ・ペチェニーノ神父記「正確な年は記憶していません。ある朝、教皇レオ十三世がミサを捧げられ、いつもどおり感謝の祭儀に出席されていました。すると突然、出席者は教皇が頭を上げられ、身動きも瞬きもされずに司式者の頭上にある何かを凝視しておられるのに気がつきました。教皇の表情には恐怖と畏怖が混ざり合っており、顔色と顔つきが急激に変化したのです。ただならぬ重大な何かが教皇に起こっていました。
やっと正気を取り戻されたかのように教皇は軽く、しかししっかりと手を打って立ち上がられ、ご自分の執務室へ向かわれました。心配した随行員たちが気遣って、ささやきを交わしながら教皇のあとに続きました。
『教皇様、ご気分でもお悪いのでらっしゃいますか? なにかお入用なものはございませんか?』 『なにも要らない、なにも』と教皇は答えられました。三十分ほどしてから、教皇は礼部省(現・列聖省および典礼秘跡省)の書記官をお呼びになると一枚の紙を手渡され、それを印刷して世界中の裁治権者たちに送るよう求められました。その紙はなんだったのでしょうか? それこそ各ミサの終わりに必ず人びととともに唱える祈りだったのです。聖マリアへの願いと、天軍の総師への熱烈な祈りで、サタンを地獄へ送り返してください、と神に嘆願するものでした。
教皇レオ十三世は、それらの祈りのあいだはひざまずくように指図されました。そのとき報道された記事は一九四七年三月三十日、ラ・セッティマーナ・デル・クレロ紙に掲載されましたが、その情報の出所は伏せられていました。しかし、その祈りが一八八六年に特別な状況の中で、実際に裁治権者たちに送られたことは立証できます。信頼できる証人であるナサリ・ロッカ枢機卿が一九四六年、ボローニャの教区に宛てた四旬節の司牧書簡の中で記しています。 『教皇レオ十三世ご自身が書かれた「霊魂を損なわんとて、この世を徘徊するサタンおよびその他の悪魔」という祈りの文には、聖下の私設書記官モンシニョール・リナルド・アンジェリによって幾度もくり返された歴史的説明があります。レオ十三世は、本当にまぼろしの中で永遠の都市ローマに集まって来ようとしていた悪霊をごらんになったのです。教皇様が全教会に唱えるよう願われた祈りは、その体験の成果でした。聖下は強く、力に満ちた声でその祈りを唱えられました。わたしたちはバチカンのバジリカの中で幾度となくそれを聞きました。 レオ十三世はまた、個人的にローマ典礼儀式書 (一九五四年版II C, III,p.863)に含まれている悪魔祓いを書かれました。聖下は司教や司祭たちに彼らの教区および、小教区でこれらの悪魔祓いをしばしば読むように薦められました。教皇様ご自身が一日中、よくそれを唱えておられたものでした』」